第76話

もしかして起こしてしまった?と、申し訳なく思いながら、雑誌を元の位置に戻す。一応2冊綺麗に揃えて。暇つぶしのためともう一度、読みおわった雑誌を開いた。



「······何時?」


その時、薫の方から声が聞こえた。

その方向を見るといつの間にか薫はこちらを向いていて。先程は虚ろな瞳だったけれど、今はもう目覚めているのか半分ほどしか瞼は開いていないけど、虚ろな目ではなくて。



「今?9時···5分ぐらい」


「·········」


「薫?」


「·········」


目は合っているのに、薫はなにも話さない。

もしかして、怒ってる?勝手に上がってるから。

それとも驚いて声が出ないとか。


もし私だったら、絶対に驚く。起きれば薫がいるなんてこと。




「あのごめんね、勝手に上がって。満子さんに薫を起こすように頼まれて···」

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