第88話

「治療した、施設⋯教えてほしいの」



これ以上、何も言わなくても分かると思った。


世那は頭がいいから。


何通りもの、もしもの話を、思い浮かべるから。





『⋯そ、れは、お見舞いに行く、とかじゃなく?知り合いが施設にいるでも無いよね?』


「⋯⋯あ、の」


『だれか、治療をしたい人がいるんだね』


「世那さん⋯」


『⋯まさか、受け継いだの?』


「⋯⋯」


『でなければ、陽向が俺に電話をかけてくるわけないよね』




受け継いだ。

異常性癖を。



子供が⋯⋯。



東の、思い通りに⋯―――。




世那は、一通りのことを知っているから。



本当に、世那は頭がいいと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る