バイストフィリア

第87話

次の日の朝、私は世那に電話をかけた。名刺を貰ったものの、連絡はしないと思っていた。


世那もまさか私から連絡来るとは思っていなかったみたいで、『⋯ひなた?』と、世那にしては珍しい戸惑った声を出していた。






「話があるの」と言った私に、『重要な話?』と聞き返してくる。




重要⋯。

とっても重要。

世那しか、いなかった。





でも、なんて説明すればいいか分からなかった。




「世那さん⋯」


『うん』


「話が、ある⋯」


『うん』



そう言った世那の声は、優しかった。



「⋯雅さんの」


『雅?』



どうしてここで雅が出てくるか分からない世那は、少し驚いた声を出した。

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