第71話
状況が嫌でも分かってる海吏は、「ルイ」とルイの名前を呼ぶ。
「公園行くで」
海吏はそう言って、ルイのそばにしゃがみこむ。
「ま、まま」
「ルイ、行こ。な?」
「ま、ままがっ⋯」
泣きじゃくっているルイは、両手で拳を作り目元をおさえていた。
「なあ?まま怖いなあ?。怖いから公園行こ」
よしよしと、優しく笑う海吏はルイを抱き上げた。
そのまま海吏は、ルイを連れて玄関の方へと向かう。
「ヒカル〜。まま怒ってるわ、逃げるで」
「えー!?」
ぐずぐずと泣いているルイを抱えながら、器用に靴をはかす海吏は、ちらりと私の方を見た。
ルイは海吏に抱えられて、自分の拳で目を隠しているから私の姿は見えず。
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