第70話

「ダメだよ、ルイ。ヒカルと同じだよ?ヒカルもままのお腹にいたんだよ?」


「だめじゃない!」


「ルイ!」


「やだやだやだっ」


「ルイ、ダメものはダメ!」


「やぁあだぁああ!!!」


「ルイ!!」


「やだもん、やだもん!!!」


「――ダメって言ってるでしょ!!」




私は少し怒り気味に言った。

私がこうしてルイに対して大声を出すのは、初めてだった。


その事に驚いたらしいルイは、「ひぐっ」と、怒っている顔から泣きだしそうな顔をして。



「うわぁああああああん」




大きな口をあけて、泣き出した。




その顔を見て、しまったと思った。

もう少し、宥めながらルイの話を聞けば良かったと。



性癖は、クセのようなものなのに。


自分の意思では、思い通りにできないこともあるのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る