第65話

その瞳が、一瞬、揺れた後。


今度はその大きい体が、体の向きを変え、私を抱きしめてきて。



「⋯ごめん⋯⋯」



どうしてか、謝ってくるから。





「どうして謝るの?」


「ひな⋯」


「嬉しくない?」


「嬉しい、嬉しいに決まってるやん⋯。めっちゃ嬉しい⋯」



嬉しそうで、喜んでいて、かといって泣きだしそうでもある声。


それでも、嬉しいと言われて、私は笑った。



「でしょ? 私も嬉しい」




そう言って私を見つめてきた海吏。

そして笑っている私を見て、笑顔を向けてきた海吏は、優しく私にキスを落としてきた。

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