第64話

ルイとヒカルが寝静まり、私はその報告するために洗面台で歯を磨いている海吏に近づいた。


ちょうどコップで口をゆすいでいる最中らしく、その行為を終わらせたことを確認した私は、後ろから海吏にしがみつく。




タオルで口許をふいている海吏は、私から抱きしめられたことに驚いたようで、「どうしたん?」と少し大きめの声を出した。




「ひな?」



海吏はタオルを置き、体を斜めにふりかえり、優しく私の頭を撫でてくる。



「どうしたん」


「⋯海吏」


「どうしたん、ルイ?」


「⋯ううん」


「?」



私は海吏の方を見上げた。

焦げ茶のような、黒い瞳。



魁輝とは全く似てないその目。




「⋯―――赤ちゃん、できた」



その黒い瞳が、大きく見開く。

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