第59話

私の肩に顔を埋める海吏の体は、少し震えていた。




不安で私を抱くことはあった。


けど、こんなにも爆発する事は無かった。



今までずっと溜めていた自分の気持ちが、今日、世那が来て溢れ出してしまったのかもしれない。



私は気づかなった。


ううん、気付こうとしなかった。



私は海吏よりも、ルイとヒカルが大事だったから。






「抱きたい」



まだ、泣いてるのか、私の服に涙が染み込んでいくのが分かった。



「⋯いいよ?」


「口も、塞がんといて」


「⋯うん」



ルイが、起きるかもしれないけど。



「ひな」


「⋯ん?」


「閉じ込めていい?」


「いいよ」




即答する私に、背中にまわる手が強くなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る