第58話

「海吏が⋯いなかったら、今頃ヒカルはいなかった」



ヒカルは、作られた存在だから。



「私とヒカルを出会わせてくれたのは、海吏だよ」



私の可愛い子供。

監禁されなければ、出会わなかった存在。

産まれて来なかった。



「ありがとう」




私がそう言って抱きしめれば、私の腕の中で海吏が「ずるいわ」と苦しそうに呟く。



「そういうとこや」


「うん」


「お前のムカつくとこ」


「うん⋯」


「俺の子やったら良かったのに」


「⋯海吏」


「‘あん時’の、孕めば良かってん」


「⋯⋯海吏」


「結局はクズの子やんけ」


「うん⋯」

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