第50話

自分の子供じゃないのに、あんなにもルイとヒカルと向き合ってくれて。


嫌うはずないのに。


海吏はもうルイ達にとって父親なのに。




「ひなが我慢できやんくなって、戻るかも」


「しないよ」


「嘘つけや」


「嘘じゃない」


「じゃあクズよりも好きって言ってや」


「⋯かいり⋯」


「言われへんくせに⋯」




そのまま私の首へ少し乱暴に唇で噛みつき、強く吸ってあとを残す海吏。


その感覚にピクっと体を動かせば、ゆっくりとそこを舐められる。



「かい⋯」


「ひな」


「う、ん⋯」


「ずっと片思いって、結構キツいんやで」




その瞬間、姿勢を変えた海吏は、私をうつ伏せに押し倒した。


ぐるんと、いとも簡単に床へと寝かしつけた海吏は、そのままのしかかるように私の背中へと密着するように乗ってくる。

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