第16話

私はそんなルイを抱き寄せる。


小さい体。


私よりもずっとずっと小さい体。




父親の海吏には私に触れるなと言い。


母親の私には海吏を見るなと言う。





ルイは泣く。

すごく、よく泣く。


もしかしたらそれは、ルイの中で必死に戦っているのかもしれない。


大好きな私たちを傷つけたくない。


だから必死に必死に我慢して、我慢できなくて、こうやって泣いてしまう。





―――見るな。



ルイの異常性癖が、高まってきている。

理性がきかなくなってきている。



そう感じとった私は、



大好きなのに。



ルイがすごく大好きなのに。




いつ、ルイが爆発しないか。



その事に恐怖する日々が続いた。






嫉妬で、父を殺したお母さん。


ルイは絶対、人殺しにはさせない―――⋯。

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