第14話
「お母さんは⋯優しかったよ」
私はそう言ってキャミソールの上から、服を着た。
「⋯そう」
海吏のお母さんはもうこの世にいない。
実の兄の魁輝が、お母さんを殺してしまったから。
「でも、もう⋯会いたくないかな」
私がそう言って海吏を見上げた。
海吏を安心させるように。
「ひな⋯」
それより。朝ごはん、何食べたい?
そう海吏に聞こうとした時だった。
「―――まま」
可愛い可愛い声が、私を呼んできた。
その声がルイだと気づき、私は海吏の影に隠れていたルイに目を向けた。
そのルイの表情は、怒っていた。
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