第12話
私はあまり家の外へは出なかった。外の世界には誰がいるか分からないから。
でも、それだとルイやヒカルがストレスを溜めてしまうから。
海吏がいる時だけ、外に出ている。
もう足枷はないのに、自由に外へ出ることができない―――⋯。
パジャマから私服に着替えている時、キャミソール姿になった私の姿を見る視線を感じた。
振り向けば、昨日真夜中に私を起こしてきて、私を抱いた海吏が私を見つめていた。
少し険しい顔をしている海吏は、「それ⋯」と、低く呟く。
それ?
「ずっと聞こうと思ってたんやけど」
「え?」
「昔からあるん?」
「え、どれ?」
「肩の、傷」
海吏の視線の先は、私の肩あたり。
そこに手を回せば、蚯蚓脹れのような傷痕があり。もう、完全に塞がったその場所。
「⋯これは、」
「別に、言いたくなかったら言わんでええけど」
言いたくなければ?
別に、隠すほどの傷痕でもない。
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