第88話

眼鏡をかけ、目の下にある泣き黒子が印象的なその人は、もう一度「大丈夫?」と私の顔を見て聞いてくる。



「あ⋯つ、わりで⋯」


「そう」


「大丈夫です、すみません⋯」


「今は診察室待ちってところかな?」


「は、い⋯」


「辛かったら、すぐに誰かに言ってね。お大事に」


「すみません⋯ありがとうございます⋯」



男の医師は、にこりと笑った。

私はそれに対して、軽く頭を下げた。


そのまま白衣を揺らし、その場を去り。



すごく若い先生だったなあ⋯。と。

この病院は親切な人が多いと思いながら、看護師を待つ。


すぐに看護師は戻ってきて、「どうぞ」と診察室に私を案内してくれた。





病室に戻り、魁輝に「どうやった?」と聞かれ、「問題なかったよ、順調に育ってる」と、私は魁輝に笑顔を見せた。

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