第79話
―――気持ちが、悪い。
そう思ったのは、あの建物から助け出されて四日後の事だった。
朝起きればすごく胃がムカムカして、本当に気持ち悪くて。お水を飲もうとしてキッチン方へ向かえば、胃がムカつくせいでお水さえ受け入れられず。
キッチンのシンクでうえっ⋯と、吐き出した私は、排水溝の匂いに、また吐きそうになり。
苦しさから目に涙をためていると、「陽向?」と、寝室から出てきた魁輝が、キッチンで蹲る私に近づいてくる。
「どうした? しんどいんか?」
私の背中をさする魁輝⋯。
どうした。
多分、これは⋯。
よくテレビで見るアレだと、思った。
トイレに向かい合って、吐く光景。
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