第71話

璃久と煌はリビングで待ってるんだと思う。


魁輝は床へと私をおろし、今度こそ私と目を見つめあった後、「⋯ほんまにごめん」と謝ってきて。



「違うよ、⋯お母さんだと思う。お母さんがまた‘嫉妬’で、入れたんだと思う⋯」


「ひな、」


「魁輝のせいじゃない」


「次は、絶対守るから⋯、ごめんな」



魁輝のせいじゃないって言ってるのに。

魁輝に抱きしめられる私は、魁輝と二人きりになったからか、今更 恐怖が蘇ってきて。



魁輝の背中に手をまわし、胸元に顔を埋め、私の涙が魁輝の服に染み込んでいく。



もう二度と、会えないかもって、思ってた。




「お腹は、大丈夫なんか」


「わか、んない⋯」


「なにされた」



なに、された⋯?



「指、入れられた⋯。ご、ごんなさい⋯、抵抗、できなくて⋯、ごめんなさいっ⋯」



思い出せば涙が溢れてくる。

赤ちゃんに、何かあったら、どうしよう⋯っ。



「陽向」


「ごめんなさいっ⋯」


「もうすぐ世那来るから、診てもらおうな。大丈夫、大丈夫やから」


「ごめっ⋯」




怖かった、本当に。


魁輝達がもう少し来るのが遅ければ、私は確実に犯されていたから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る