第63話
「行くぞ2人とも! マジで時間ねぇんだから!」
「こいつ殺してから⋯」
「煌!」
魁輝は私を横向きに抱えると、「⋯覚えとけよ」と、唯斗を冷たく見下ろした。
部屋を出た時、先に出ていた煌が、足を止める。
煌は顔を顰めながら、「どけよ」と、階段付近にいる誰かに話しかけていて。
「久しぶりだね、みんな。どうしてひなちゃんがまた、ここに居るか分かんないけど⋯。何してるの?」
そこにいたのは、二度と見たくなかった詩乃と、さっきまで私といた⋯海吏がいて。
にこりと、微笑む海吏は、「やっぱりその子がええんやけどなあ」と、魁輝に抱えられる私を見つめてきて。
え?と、声を出したのは、璃久だった。
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