第62話

「はあ?」


「そいつ、殺す」


「ふーん、こいつが陽向を⋯」



煌は冷たく蛇のように唯斗を見下ろすと、床へ乱暴に投げ飛ばした。そしてそのまま、顔を踏みつけ。



「俺が殺す」


「ちょっと待てストップストップ!そいつ鍵持ってるかもしんねぇから!! 殺す前にそいつの服探せ!!」



煌の体を押しのけ、魁輝にも「落ち着け」と璃久が言った後、璃久は横になる唯斗にしゃがみ込み、ズボンのポケットを探る。




すぐに「あった!」と、声をあげた璃久は、それを魁輝に投げつけた。



魁輝はそれを片手で受け取ると、また私に近づいてきて。


それを手錠の中に入れ、ガチャンと、私の耳に鍵が外れる音が聞こえた。


その事に涙が流れるほど嬉しくなる私は、今度こそ魁輝に抱きつく。


魁輝は私を受け止め、「遅なってごめん⋯」と、抱き寄せた。

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