第61話

私の言葉に目を、揺らした魁輝は⋯。



「できるわけないやろ」



私の手元を撫でながら、苦しそうにそう呟き。


璃久と一緒に鍵を探し始めて。



できるわけがない。

1度、私の手首を折ったことがあるのに。


折ってと言ったのは私なのに、すごく変わった魁輝に、⋯少しだけ嬉しくなった。





「遅すぎ、何してんの」



その時、銀色の髪の男が、何かを引きずりながら中へと入ってきた。


煌も来てくれたんだと、どんどん増えていく私の安心感⋯。


そんな煌の引きずっている何かとは、さっきまで私と一緒にいた唯斗で⋯。



唯斗の姿を見て体を震わした私を、魁輝は見逃さなかったらしく。ありえないぐらい目を怖くした魁輝は、「煌、そいつ渡せ」と、もう意識を失っている唯斗に近づく。

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