第60話

助けに来てくれたんだ⋯。

その事に嬉しい私は、涙が流れてくる。


来てくれると思ってたから。



「あーもう!時間ねぇよ!!」



璃久が部屋の中を探す。

時間が無い、というのは、さっきの「閉まる」というのに繋がっているんだと直ぐに分かった。



早くしないと、シャッターが閉まってしまう。



でも、鍵がないから、開けられない。



出ることができない⋯。




「か、いき⋯」


「なんやっ⋯」


「折って」


「は⋯、?」


「手、折って」



そうすれば、手錠から抜け出せるから。


魁輝なら、それぐらいの力はあるはずだから。

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