第59話

魁輝も璃久と同じように、私に駆け寄ってくると、私の顔をみた瞬間、両手で頬を掴んできて。



「い、きてんやな?」


と、魁輝から出るとは思えないほどの、弱々しい声が耳に届いてきて。



生きてるよ、大丈夫と、魁輝の手のひらの中で頷けば、そのまま魁輝は私を抱きしめてきた。




「よ、かった⋯」



抱き締め返したいのに、手錠のせいで腕を回すことが出来ない。


魁輝、魁輝⋯。



「魁輝、鍵ねぇ! 急がねぇと閉まる!!」


「ちゃんと探せ!」


「探してるけどねぇんだよ!」



私から離れた魁輝は、手錠の方へと手を伸ばす。私の赤くなった手を見た魁輝は「殺す⋯」と、低く呟き。



目の色を変えたように、不機嫌な顔つきになった。

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