第57話

はやく、はやく、はやく、!!


痛い痛い痛いと、心が叫びながら、必死に力を入れているとき。




―――私は、耳を疑った。




ひな




扉の奥で、そんな声が、聞こえたから。




「陽向!!」




手錠から、扉の方に目を向けた私は、別の意味で涙がこぼれ落ち。



ほんとに? 夢じゃない?



私は、咄嗟に、扉の向こうに聞こえるように叫ぶ。



「魁輝」と。



でも、予想してたより、自分の声が小さくて。



もう1度魁輝の名前を呼ぼうとした時、突然、その扉は開かれる。



そこに、現れたのは、明るい髪色で。



唯斗が戻ってきたと、恐怖が私を襲った時、明るい髪色の男と、目が合い。



「魁輝!! ここ!! 見つけた!!」




目が合った男は、叫ぶ。


その髪色が金色だと、

璃久だと分かった時、「り、く⋯」と、弱々しい声が、喉から出ていた。

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