第47話

「そっかそっか、いるんだ」


何かを狙い獣のように微笑む唯斗は、横にいる海吏に顔を向け。



「俺に譲って? お願い」



海吏に両手を合わせ、拝むような格好をした唯斗。



「お前ほんま気持ち悪い性癖やなあ」



呆れたように怪訝な顔をした海吏は、私を一瞥すると、結乃の方へと顔を向け⋯。



「君、俺やってさ。あの子にバイバイしときぃ。もう多分、会われへんやろうから」


「や、やだっ、来ないで⋯」


「君のええとこどこやろ?ぐちゃぐちゃにしたるわな」


「や、いや、いやぁぁぁあ」



海吏に引きずられながら、叫ぶ結乃⋯。




「君も俺の部屋、行こっか」


来ないと、



殴っちゃうよ。




お腹を。





唯斗の言葉に嫌でも従う私は、ボロボロと涙を流すことしかできなくて。

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