第46話

「どうして、今、お腹を庇ったわけ?」



私の顔を覗き込むように、嬉しそうに聞いてくる唯斗。

お腹を庇ったわけ?



「もしかしているの?中に」



―――冷や汗が、流れてくる。



「君、妊娠してるの?」




興奮気味に見つめてくる唯斗の目は、野獣そのもので。絶対に逃がさない、そんなオーラが背中から出ているのが分かるほど。



何故か、この男にだけはバレてはいけないと思った。


肩を震わせる私は、慌てて首をふる。



「ほんとに?」


「し、てな⋯」


「だったらさ、今、ここで」



お腹、殴ってもいい?



そんなことを簡単に聞いてくる唯斗に、涙が零れそうになった。



泣くな。


泣くな⋯。




黙り込んでしまう私は、「や、やめて⋯⋯」と、震えた声を出しながらお腹を庇う。


こんな仕草をすれば子供がいるって、すぐにバレてしまうのに。


けど、もう一度「やめて⋯」と懇願する私は、絶対にこの子を死なせたくないから。

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