第45話

不安が私を襲ってくる。


魁輝にも同じようなことを言われた覚えがあるから。でも、まさか。そんな。


うそ、嘘だ。



もし、兄弟がいたとしても。

ここにいるわけない。

そもそも異常性癖なんて、すごく稀なことなのに。


いや、それよりも、兄弟で同じ性癖を持ってるわけない。



ああ、そっか⋯、これは罠。

私を戸惑わせようっていうメビウスの策略で。



騙されない。

二度ともう、騙されないからっ。



そう決意して、目の前の男をどうしようかと考えていた時。




「ねぇ」



唯斗、と呼ばれた明るい髪をした男が、興奮気味に私に近づいてくる。



なに?



なんなの。




なに。



思わず後ずさってしまう、私の体⋯。

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