第40話

「⋯ひ、なたさん、ここのこと、よく知ってるんですか?」



そう聞かれて、どう答えればいいか分からなかった。知っているは知ってるけど。

知らないことが多すぎるから。


今だって、鳴らない音にどうして?って考えていたのに。




「⋯あたし、1年前、ここにいたことがあるから⋯」


そう言えば、結乃の目が、「え、!?」と大きく見開き。



「1週間ぐらい⋯」


「1週間!?」


「はい⋯」


「ここから出られたんですか!?」




出られた、っていうよりも。

璃久が呼んだ友達によって助けられたから。


自分の意思で逃げたわけではなく。


気づけば、病院にいたから⋯。


いつの間にか出ていた。

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