第38話
「他にどんな人がいるか、分かりますか?」
「どんな人って言われても⋯、その黒髪の人の印象が強すぎて⋯。あとは詩乃さんぐらいしか⋯」
会ってないのかな。
でも、異常性癖って言っても、みんながみんな危険というわけじゃないから⋯。
璃久みたいな人もいるかもしれない。
雅のように、自分の性癖が嫌いな人もいるかもしれなくて。
でもやっぱり、この場所にいる限り、全員の性癖を知っておきたいと思うから。
手っ取り早く知る方法は、詩乃⋯に会うこと。
詩乃なら多分、みんなの性癖の事を知っていると思うから。
かといって、詩乃に会えるわけない。
あんな事があったのに。
「ここを出る方法は、次に女の子が来る日です。その時に出入口のシャッターが開くから⋯。ブザーの音が、そのサインで⋯」
「ブザー?」
「サイレン、みたいな⋯。その音がシャッターが開く合図で⋯」
「そ、それっていつですか!?」
いつ、それは分からない、と、首をふる。
私の時は、世那がみんなに知らせていたから⋯。
「そんな⋯」
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