第37話

―――「陽向のそばおっていいんか、分からんなる」


―――「私と付き合ったこと、後悔⋯してるの?」


―――「してへん、それは」


―――「じゃあ、あの建物に入ったことに後悔してる?」


―――「それは⋯よう分からん⋯。行くって決めたんは自分やし。けど、なんであんな事してたんやろ⋯ってのは思う」


―――「性癖が無くなったってこと?」


―――「⋯それも、分からん」



この建物にいれば、麻痺してしまう。


女の子を傷つけるのを、当たり前になってしまう。



魁輝のその言葉を聞いて、私が思ったのは⋯。



魁輝たちも、メビウスに洗脳されてたのでは?ってことで⋯。



―――「お前、俺の目、好きや言うてくれたやん? そん時なんか、めっちゃ頭ん中揺らいだ覚えあるわ⋯」



⋯もしかしたら、その時かもしれない。


メビウスによって作られた魁輝の洗脳が、解け始めたのは。

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