第33話

「いえ⋯、知らないと思います⋯。⋯と、とりあえず⋯ここから出ましょう⋯」



落ち着くように息をはいた私は、ゆっくりと床に足をつけた。



「出るって、この部屋からですか!? 」



驚く顔をする結乃は、「無理です無理ですっ、殺されちゃう!!」と、泣き叫ぶ。


精神的に参っている結乃は、「なんでこんなことに⋯」と顔を押さえ。



「どうすればこの建物から出られるの⋯」



どうすれば⋯。

それは1年前、私がずっと思っていたこと。


もう、この建物から出る方法を知っている私は、目の前にいる結乃よりも、冷静だった。



けどそれは結乃よりも、と言うだけで。


ここがどれだけ残酷な建物か知っている私の体の震えは止まらない。



―――⋯魁輝⋯。




あたし、どうすればいいの⋯。


次の女の子達が来るまで、ここから出られないの?



それっていつなの?シャッターが開くのは⋯。

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