第32話

「あ、の、黒髪の人に、私の友達も、殺されました⋯」



思い出したように話す結乃は、ビクビクと、体がさっきよりも震えだしてきて。



黒髪?

やっぱり、まさか、仁?



「知ってますか、ここに、泣きぼくろがある男⋯」



結乃はそう言って、自身の左目元に人差し指を当てる。



泣きぼくろ?


ほくろ?



仁の顔を思い出すけど、仁の顔に、ほくろなんてものは無かった⋯。



黒髪で、泣きぼくろ。

そんな人は1年前、いなかった。


ってことは、話は簡単⋯。



私の知らない異常性癖の男が、この建物にいるってこと⋯。それも、人を殺してしまう性癖。



この部屋が空き部屋って事は、7人ではなく、6人の男がいる。もしかするとそれよりも少ないかもしれない⋯。

けど、危険な異常性癖が存在してるみたいで




ぎゅっと、お腹をおさえる私は、今からどうすればいいか必死に考える。


考える。


考えるけど、戸惑いが勝ってしまっている私の脳はどうすればいいか分からない⋯。

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