第85話
ぽちゃんと音が鳴る。いつものように湯船に浸かりながら流雨の胸元に背中を預けていると、服で隠れて見えないところに流雨がキスマークをつけてくる。
まだ下腹部がじんじんしている私は、あまり力が入らず流雨にされるがままで。
「流雨…あのね」
「うん?」
「聞きたいことがあるの」
「うん、なに?」
「私って、何から狙われてるの? 」
ちゅ、と、首筋にキスをしてきた流雨は「それって、護衛してる意味を聞いてるの?」と私を体を両腕で抱き寄せた。
少し、違うけど、
「うん」と言った私に、流雨は続ける。
「〝姫〟っていうのは大事な存在なのは分かる?」
「…うん」
「俺らのところはね?まあ、偉い順にいえば総長、副総長、その後に幹部って感じなの。ナナと御幸ね」
「うん」
「でもその中に〝姫〟が入ったら、総長、姫、副総長の順番になる。だから月は凄く高い権力があるんだよ?」
私が?
総長の次?
ということは流雨よりも上ってこと?
「だからその地位を狙う女がいっぱいいる。実際に月が姫になる前はすごい女が集まってたし。…まあ、今も、か」
「今も?」
「晴陽んとこの学校、月でいけるんだったら私もいけるんじゃないかって言ってくる女沢山いるみたいだよ? バカだよね。いけるわけないのに。安心してね、そういう女は俺が消してるから」
にこにこと笑ってる流雨…。
「まあ、そういう女から羨ましいとか、嫉妬とかね。そういうのから護るのも護衛の役目」
「柚李さんが護衛してるのに…流雨が消してるの…?」
「俺の月をバカにしてる奴を、俺がしないでどうするの?」
にこにこにこにこ。
「ナナが捕まえるんだよ。侮辱したって。影で言ってる奴も含めて…。それを痛めつけるのが俺の役目。あ、でも、安心してね? 月の学校の女には説教しただけだから。月は有意義な学校生活を送ってね」
にこにこにこにこ。
「それで裏で気をつけていても、やっぱりヤキモチやいていじめちゃう女がいるの、そーいうやつから護ってる」
「…そ、なんだ…」
「他にもあるよ。やっぱり男と違って姫は女だから狙われやすい。姫を取られたらその族はほぼ終わる。総長の次に地位が高い姫を人質に取られたら…総長はフルボッコだろうなあ。…まあでも、晴陽のフルボッコ姿とか見てみたいかも」
にこにこにこにこ。
「まあ、いろんな奴らから護るために、護衛をしてるの。分かった?」
突っ込みたいところは多々ある。
流雨は私がいないところで、いったい何をしているのか…。
柚李が女を捕まえる。
この前、柚李が私のクラスメイトの女の子の名前を、スマホでメモしていたのを思い出した。
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