第60話

「ごめんって…、そんな怒らないでよ晴陽」



晴陽?晴陽と電話してるの…?




「んー…今日、今日は…、いや、もう落ち着いたんだけど…。月が起き上がれるかなあ…。立てないかも冗談抜きで」



「だってほんとにかわいいんだもん…。俺えっちがこんなにも気持ちいいの初めて…」



「いや?なんかさ?石川さんたちも大好きなんだけど月は違うっていうか…。こうして愛をお互いに育むって言うのかな?セックスを与えてくれた神に感謝してるよ」



「どうでもいい?どうでもいいって何?結構真面目に話してるんだけど?」



「ん──…、でも本当に立てないだろうし、明日じゃだめ?お願い。っていうか別にもう毎日通わなくてよくない?もう月の名前も知れ渡ってるし……。……そうだけど…」



「分かってる…俺のミスだから。ほんと?さすが晴陽!」



「じゃあ、明日!」



「え?ああ、うん。そんなの考えられないぐらい抱いてたから…。っていうか晴陽俺も聞きたいことあるよ?なんで月を俺のところにやったの?」



「感謝してるよ?──…でも、晴陽絶対なにか考えてるよね?俺はそれを教えろって言ってるんだよ」



「違うよ、〝その理由〟じゃない」



「──…ふーん、そう。別に言わなくてもいいけどさ。もう月は返す気ないから。後から返せって言われてもムリだよ。渡したのは晴陽なんだからね」



「まあ、ほんとにごめんね昨日は。はーい、またねぇ晴陽」







そこから声が聞こえなくなり、カタンとスマホか何かが置かれるような音がして。



足音が遠のいていき、流雨はバスルームの中へ消えていった。



会話を聞いていた私は、会話が無くなったことによりウトウトとすることができて。



また夢の世界に入った私は、彼らの〝関係性〟について考えていた…。

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