第55話
それどころか柚李は舌打ちをすると、「外にいる」と部屋から出ていった。
それを見て鼻で笑った流雨は「ざまぁ」と、私の髪を解放した。見せつけるためにアトを残したらしい流雨、束縛する男。
「流雨」
そんな流雨の名前を呼んだのは、雑誌を閉じ、煙草に手を伸ばしている晴陽で。
「あんまり挑発するな」
そんな晴陽に言い返したのは、御幸だった。
「晴陽が1番、ナナを怒らせてると思うけど?」
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