第54話

「下品って、お前だってそこらじゅうで月ちゃんとちゅっちゅしてんじゃん」


「やめてよ、怒るよ。どこが下品なの。神秘的な行為だよ」


「どうせ昨日の夜エッチなことしてきたんだろ?」


「はあ?」


「いやいや、めっちゃ月ちゃんにアトつけてヤってませんとか嘘通じねぇからな?」


「俺の月を御幸が見ないでよ妊娠しちゃう」


「どーいう意味だよ?」


「いろんな便器を美味しく頂いちゃう御幸が、かわいい月を見ないでって言ってるの」


「俺だって選んでるっつーの、和式より洋式タイプだし?日本人形よりフランス人形だもん俺」


「晴陽から聞くよ? 便器のために学校サボるとかどうかしてんじゃない?」


「遊びたい年頃なんだから仕方ないじゃん? それに流雨だって月ちゃんが風邪ひいて苦しんでたら休むだろ?」


「休むよ。当然でしょ、なんで月が苦しんでるのに俺が学校いくの?っていうかそもそも便器と月を一緒にするとか頭おかしいよ?大丈夫?」


「ほんとに愛されてんね、月ちゃん良かったね」



流雨と話している御幸が、私に視線を向けた。

面白そうに笑っている御幸…。



「で、どうだったの? 月ちゃんの体気持ちよかった?」


「殺すよ」



流雨が、御幸を強く睨む。



「月ちゃん声かわいいからさ?そういう所知りないなー」



それでもにこにこと笑う御幸…。



「言うわけないでしょ、あんなにかわいい月の声は俺だけのだよ。何回も聞きたくて月の好きなところ全部覚えたもん」


「へぇ?結構感度いい感じ?」


「言わないよ、もう俺のだから」


「そうだな、言うと妬いちゃう男がいるし?」



ニヤニヤ笑う御幸に、「妬いちゃう男?」と反応した流雨は、それが誰か分かったらしく。



「ああ…」と、可愛い顔を緩ませ。



「羨ましい? ナナ」



と、私をもっと引き寄せた流雨は、離れて座っている柚李の方へ微笑みかけ。



「月、今日はイクの覚えようね?」と、私の髪を1束にまとめ、柚李の方へ首筋が見えるように髪を退かし、そこへ口付けた流雨…。




わざと大きく音を立てて。


見せつけるように、そこへアトを残したその光景に、柚李は私の方を見ることはなかった。

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