第47話

きっと言っていた。

晴陽と体を重ねていなかったら。


もうやめて、

いやだって。


無理矢理…するとは違う、流雨のやり方。愛しちゃうよ?という、やり方…。



「早く言ってよ月…」


「……」


「こんな形で、初めての恋人としたくないんだけど」


「るう……」


「…言って?」



やめたい、と。

その言葉が出てくるのを待っている流雨は、頬をなぞった。



やめたい、

こんなこと、したくない。

帰りたい。



やめたい

やめたい

やめたい──…



そう思うのに、今視線が重なっているのは流雨なのに。思い浮かぶのは柚李の顔。

それから、〝抱かれてこい〟と言ってきた晴陽の顔。




「やめ、ない、…」


「月」


「きす、したい、キスして…るう…」




流雨は、少し息を吐き、瞼を閉じた。


ゆっくりと瞼が開いた刹那、「バカだな…」と呟いた流雨は私の唇を塞いでいた。










──…あの部屋のベットとは違い、高級ホテルのベットは音がしなかった。


音がするのはシーツの音と、肌がぶつかる男。

それから自然と漏れる甘い声と、熱い吐息。



「はっ、…あ、…あっ、…」



晴陽とは違うやり方をする流雨は、私に〝気持ちよさ〟を与えてくる。



「るな、」


「ん…っ、…」


「こっち見て」



ぎゅっと瞼を閉じている私の頬、包む。



「俺の方見て」



そのまま首の後ろにも手を回され、私の上半身を起こしてきた流雨。ぐっ、と奥へと挿入ってくる流雨自身に、涙が出そうになった。




「俺だけしか見ないで」




そう言った流雨は、角度をつけて深く舌を絡ませるキスをしてきた。下半身が揺さぶられるため、今まであまり零れることがなかった唾液が零れていく。



「……ずっと俺のでいてね」



私を抱きしめる流雨は、「大好きだよ」と、その行為を続けた。

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