第42話

好きな人に、迷惑をかけないために…。

晴陽の交換条件を飲み、流雨の彼女になる。

それを何かと勘づき、分かっているらしい男。



「俺、生き物の恋人は沢山いたけど、人間の恋人は初めてだなぁ…」



と、流雨を受け入れた私の耳元でワケの分からない事を言ってくる。



「月は今から彼女ね、だからこれからは流雨って呼んで」


「はい…」


「今日はこのまま送るね、明日の朝、ナナと浮気しちゃだめだよ?」


「…帰るんですか?」



思わず聞いてしまった。

帰る?

だって今から…



「もしかして〝そういう事〟しろって、晴陽に言われた?」



言われたって言ってもいいのか。

でも何かと流雨は分かってる。

誤魔化したところで…

そう思って黙り込んでいれば、目の前の男は肯定と捉えたらしい。



「言われたんだ…。本当にいいの?俺たぶん、めっちゃくちゃに愛しちゃうよ?」




分かっているらしい流雨は、「ばかはるひ…なに考えてんだか…」と呟くと、私から少し体を離し運転手の方に声をかけた。





「ホテル行って」

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