第36話

どうするの、と、考えるよりも。

その人の肩を押してもビクともしなくて。

それどころか手首を掴まれ、シーツの上へ縫い付けられる…。



「やめて……っ…」


「どーすんの?慣らす?」


「やめてっ!」


「ぶっつけ本番で、泣かなくていけんの?」



首を傾げる彼は、片方の手を離すと、少し乱暴にスカートの中に手を入れてきて。やめてと、「できる、できるからっ、やめて…」と泣きじゃくる私の下着に手をかけた。



「やだっ…」


「俺を流雨だと思え、今から泣くな。泣いたら突っ込む」


「むりっ…むり…、やめて…」


「だる…」


「どうして、こんなこと…。どうして私を〝姫〟にしたのっ……」


「ん?」


「流雨の女にしてっ…、〝この後〟何を考えてるのっ…」


「なんの話?」


「私を〝姫〟にして、何を考えてっ…」


「お前、マジで柚李タイプだな。扱いやすいわ」



下着を脱がす事もなく、少し横にずらした晴陽の指先が、入口をこする。


そしてそのまま乱暴に入ってきた異物感の痛みに、「やめてっ」とその人を押す。



「流雨に抱かれる?」


「……っ、……だか、れる、っ…」


「泣かねぇ?」


「なかなっ…い、………」



必死に首をふる。



「そんな顔で言われても説得力ねぇよ?お姫さま」


「まっ──…」

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