第33話
どこまでが、計算なんだろう?
どこまでが、彼の未来なんだろう?
やけに頭のいい男は、一体何を考えているのか…。
その日の放課後の魔窟には、晴陽と御幸がいた。とは言っても、御幸は外で男の子と喋っていた。
今日も「ごめんな」と言ってくる優しい柚李。そんな柚李に帰りたいとは言わず、「…大丈夫です」と返事をしたのは初めてだった。
中に入り、煙草の匂いがして。
その匂いの方へ歩く私に、その人は分かっていたような顔をする。座らず、その人の正面に立ち。
その光景に「どうした?」と声をかけてきたのは、柚李。
「……話があるの…」
晴陽はうっすらと笑い、煙草の火を消すと、「2人っきりがご希望?」と上目遣いで私を見つめてきた。
「…ご希望」
強くそう言った私に、目を細めて笑った晴陽はゆっくりと立ち上がった。
「ナナ、ちょっと出てろ、誰も入らせるな。流雨も」
そう言って晴陽は私をずっと監禁していた部屋へと向かう。
「おい、晴陽…」
それを柚李が止めるけど、「姫のご希望な、見張っとけ」と晴陽が言えば、柚李は顔を顰めたあと「…分かった…」と、私に目を向けたあと、外へ行くために私たちに背を向けた。
行かないで、柚李──…
もう二度とそんな事を思わないように、私は扉から出ていく前に、柚李から視線を外した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます