第23話

「入れるわけないって…」


「当たり前じゃんっ」


「え、…でも、…宮本くんもメンバーじや…」


「…もしかして知らないの?」



そう聞かれて頷くことしか出来なかった。

だって本当に何も知らないから…。



「…え?俺らが傘下だってことも?」



本当に驚いているらしい宮本くんは、もう敬語を使っていなかった。



「…傘下って?」



私がした質問にも、また驚いた顔をする。



「傘下っていうのは、んー…、分かりやすく言ったら親会社と子会社?みたいな」



親会社と子会社?



「俺はもちろん子会社!子会社でも、何個かあるんだけど…。まあ親会社が晴陽さんのところで…」



親会社が晴陽…。



「そういう系列なんだけどね?」



系列…?

またよく分からない言葉が出てくる。



「まあ、凄いんだよ。トップなんだから。何十、何百人のトップだよ!ガチャでいうならSSSなぐらい!」


「…ガチャ?」


「俺らからすればマジで雲の上の存在で…。普通なら会話もできないぐらいだし。けど、たまたま綾瀬さんのところに、月さんの学校のやつがいなくて、同じ高校の同じクラスの俺らに声がかかったってわけ!」



雲の上の存在…。

会話もできない?



「毎日七渡さんと話せるのもほんとに凄いことだし」



凄い…



「あの副総長に任命されるとか、テンション上がりっぱなしだし」



副総長…流雨…任命?脅しではなく?



「ほんとにすごいんだよ?みんな月さんに憧れてる。女なんか特にヤバイヤバイって言ってる」



…憧れてる




「マジで自慢できるぐらいだから、こうしてあの人の〝姫〟を守れるとか…」



自慢…?



「俺も本当に嬉しく思ってこうやって護衛してるから、だから気づかいしないでね?」


「…一人だと、だめ…なの?」


「だめっていうか、その方がいいっていうか。もし学校の中で襲われたら一人が囮で、一人が月さんを連れて逃げられるから。そっちの方が安全っていう意味だよ」




頭上で授業の始まるチャイムが鳴った。




「あ、やば、まあ、ってことで!俺らは迷惑とかじゃないから!それだけ言っておきますね!急ぎましょう!」

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