two
第22話
────それは、ある移動教室へ向かっている休み時間の最中だった。
護衛の男子生徒が、「…あの、聞いてもいいですか?」と、話しかけてきた。
同い年なのに私に敬語を使う男。というよりも〝姫〟になる前は普通…、ううん、関わりもしなかった世間で言う陽キャラタイプの彼。
少し爽やかで前髪を立たせている彼は確かミヤって言われてた。
「…え?」
「…なんで2人から1人になったんですか?」
2人から1人?
護衛の事を言ってるらしい彼は、「あ、…いや、そう伝達がきたんで、どうしてかな…と思いまして…」と、少し困ったように笑ってきた。
伝達って何?と思ったけど…。
「わたしが言ったから…」
「え、そうなんですか?」
「はい…」
「一人がいいって?」
「…はい…」
そうなんだ…と、少し驚いた顔をする彼は、「…それって、俺らに迷惑がかかるからですか?」と、爽やかな顔を傾けた。
面倒がかかるから…。
それもあるけど、たま私が見張られているっていう気持ちの方が強く。黙り込んでいると、彼がもう一度口を開いた。
「そう思うなら、全然平気ですから!っていうかめちゃくちゃ嬉しいし!あの綾瀬さんのところの〝姫〟を護衛するとか、夢みたいだから!」
夢?
「ほんと、たまたま綾瀬さんのところに、月さんが通っている学校の生徒がいなかっただけで俺らに声かけてもらって…。だから本当に困ってないし、2人に戻しても大丈夫ですよ?」
たまたまいなかった?
私が通ってる学校…。
声をかけた?
2人に戻しても大丈夫?
「それに2人の方が守りと攻めに別れられるし…そっちの方が…」
守りと攻め?
全く何を言ってるか分からなくて、「え?」と顔を傾ける私に、「え?」とその人も傾けた。
「あの、」
「え?」
「意味がよく…」
「え?何がですか?」
何がですか?
「あの…」
「あ、いや!とりあえず2人の方がいいっていう話なんです!」
2人の方がいいっていう話?
「ほんとに俺らも困らないし!ってか俺らんとこの総長は是非是非って感じだから!」
俺らんところの総長?
それを聞いて、またしても、え?って思った。
だって、え?
「宮本くんって……、晴陽さんの…その、仲間というかメンバーじゃないの…?」
私の言葉に、ええ?!と、驚いた顔をした宮本くんは「違う違う!!」と、大きく顔を横にふった。
ちがう?
晴陽さんたちの仲間じゃないの?
だからこうして私を何かから護衛してるんじゃないの?
もしかして流雨に脅されたから…?
じゃあ夢って何?
そう思っていたら、「俺は、晴陽さんとこの傘下だから!俺が晴陽さんとこに入れるわけないから!!」と、アタフタしだして。
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