第17話
次の朝、もうカーテンの外は明るかった。
私はあのまま寝てしまったらしい。ここにこうして泊まるのは、私が監禁されてた以来だった。
部屋の中には誰もいなくて、のっそりと起き上がれば、自分が制服を身につけていることに気づく。
それでもスカートははかれていなく。
え?と、戸惑いながら辺りを見れば、眠ってシワにならないようスカートだけはサイドテーブルの上、灰皿の横に畳まれて置いてあった。
誰かに脱がされたらしい。
脱がされるぐらいなら、シワになった方がマシだった…。
風呂もはいってない…。
そう思いながらスカートを身につけ、カッターシャツを伸ばすようにスカートの中にいれた。
手ぐしで髪を整え、出たくない扉を出れば、そこはまた煙草の香りが広がっていて。
もうこの中で煙草を吸う人はこの人しかいないから。
晴陽がいることにすぐに気づいた私は、部屋の中に戻ろうと思ったけど。
「顔、洗っておいで。 歯ブラシは使い捨てのあるから」
と、こっちに振り向いてないのに、私がいることに気づいた晴陽がそうぽつりと呟いた。
言われた通りにシャワールームに向かい、自身を整えた。シャワールームに置かれている洗面台の近くにはタオルとか、男物のワックスまであった。
それにふれることなく、外見をチェックする。たくさん泣いたらしい私の瞼は腫れていた。
中に戻れば、さっきまでいなかったはずの柚李がいた。柚李は私のを見るなり、「飯買ってきた」と言ってくるけど、食欲のない私は視線を下に向けた。
「わがままだな、ナナに会いたかったんだろ?」
くすりと笑った晴陽。
「パンだから、車の中でも食べれるけどどうする?」
柚李は無視して、私に聞く。
ここを早く出たくて、パンを食べたいと思っていないけど…、頷いた。
ここから離れたい。
「先にお前の家に寄るか?学校の用意もあるし着替えたいだろ?」
「……いいんですか…?」
お風呂にも入ってない…。
「まだ6時だからな」
そう言った柚李に驚く。
6時? 朝の?
私を迎えに来てくれた柚李は、いったい何時に起きたのか…。
「すみません……」と言った私に、柚李は少しだけ難しい顔をしていた。
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