第11話

校門につけば、昨日とは逆で、クラスメイトの彼ら2人が待っていた。

柚李に「頼むな」と言って〝私〟を預ける。

彼らは「はい」と頭を下げていた。













「ねぇ知ってる?霧島きりしまさんが抜けたのって、霧島さんが晴陽さん達を裏切ったからなんだって」


「それ聞いた、あれでしょ?遊佐ゆさでしょ?ヘラヘラしたやつ」


「なんかあの子、関係あったらしいよ」


「ああ、自称姫?」


「そうそう、霧島さんと遊佐があの子を使って、裏切ろうとしたんだとか」


「それがなんであの子が姫に繋がるの?」


「流雨さんが気に入ったからだって」


「流雨さん趣味悪くない?」


「でも、そんな流雨さんも好き」


「わかる〜、センスない男って、なんかクるよね?」






もう、〝姫〟になった日から3週間も経てば、私がどうして監禁されたかある程度分かってきた。


噂で。

私に聞こえるように。



私は霧島に、つれてこられた。

それは晴陽達を裏切ろうとして。

私はその裏切る材料だった。


よく分からないけど、流雨に気に入られた私は、霧島にとって都合のいい材料にならなかったらしい。




あの男──…


ユサ…、


この状況を作ってしまった原因の男。





バイクでぶつかりそうになり、ケガをした私を総長室というところに運んだ人が、霧島と一緒になって私を裏切る材料にしようとした…。



私が彼らに捕まる事は、仕組まれていた事だった。



晴陽は言っていた。


〝状況が変わった〟と。


それは多分、あれは裏切り行為に気づいたのだと、今になって分かる。




霧島がいなくなり、私は解放してくれるはずだった。


それなのに私は〝姫〟になって、逃げられなくなった。



それは何故か、



私が流雨のお気に入りだから──…。

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