第3話
ついこないだまでは、特に関わりのないクラスメイトだった。
でも2人は暴走族の一員…みたいで。
よく分からない。
けど副総長の流雨がこの2人に言っていた。
「学校の中でもしもの事があったらお前ら2人死ぬことになるからよろしくね?」と。凄くいい笑顔で。
流雨が怖いらしい2人は、こうして学校の中ではずっと私のそばにいる。
学校の中だけ。
もっと詳しく言えば、校門の所まで。
学校の前に停まっているその車から出てきたその人へ、〝私〟を渡すまでが、その2人の仕事。
「こんにちは七渡さん」
そう言って頭を下げる彼らに「ああ」と言った後、七渡柚李は後部座席の扉を開ける。
もう、抵抗しても無駄だって言うのは分かってるから。その中に乗り込んだ後、柚李は「今日は何してた?」と彼らに聞く。
クラスメイトの彼らは「特に変わりは…」「陰口は…」「いつもと一緒でした…」と柚李に報告する。
それを全て聞いた柚李は、助手席に戻ってきた。発進する車。静かな車内。
近衛隊長という役職を持っている柚李は、総長を守るのと、〝姫〟を守るのが仕事らしく。──…くだらない、と思う。本当に…。
当たり前のようにその場所につき、柚李がおりたあと、後部座席の扉を柚李があける。
「大丈夫か?」
私の落ち込んでいる顔を見てその言葉を言ってくる柚李に、「大丈夫じゃない…」と言えば、私は解放してくれるんだろうか…。
そんなはずない。だって柚李は暴走族の一員だから……。
「柚李さん……、」
「体調悪いのか?」
「……かえりたい…」
「…中に晴陽がいる、体調悪かったら流雨に言え。もう少しで来る」
「今かえりたい…」
「…流雨に言え」
4人の中でも、1番話が通じて、優しい柚李…。そんな柚李はいつも〝部屋〟に行く最中「…ごめんな」と申し訳なさそうに謝ってくる。
多分、私がこうしてここに来れるのは、柚李さんがいるからなのだと思う。
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