幕間3
「ぐすっ……ひぐっ……」
「また泣いてる……今度はどうしたの? また虐められたの?」
「違う……クラスの女子から聞いたんだけどね、陽太に彼女ができたかもしれない。陽太が誰かのものになったらわたし……どうなっちゃうか解らない」
「全くもう……あんたっていつもそうよね。化粧落とした途端、いっつも弱気になって」
「だ、だって……」
「大体ねぇ、陽太君が他の女と付き合うわけないでしょう? だってあの子は……」
「あの子は、なに?」
「……いや、やっぱり何でもないわ。そういう予感がしただけよ。そんなに心配なら、あとで直接本人に聞いてみたらいいじゃない」
「う……うん」
「というか、あんたそんなに陽太君好き好き女だったっけ? 正直言ってウザイんだけど」
「ホント一言余計だよね……」
「やっぱり、痣を隠し忘れた日から? まあ、あんなこと言われたら誰でも惚れちゃうか」
「……たとえお姉ちゃんでも、陽太はあげないよ?」
「もらわないわよ。歳下はタイプじゃないし」
「……確かに褒めてくれたのも嬉しかったけど、それだけじゃないの。それから一週間ぐらい経った後かな、陽太の誕生日だったから、プレゼントに『くまたん』のキーホルダーあげたの。何あげればいいか解らなかったけど、痣の時のお礼にと思って」
「へえ、あんた割と律儀なところあるのね」
「そしたらね……予想以上に喜んでくれて。教えてもらったんだ。陽太、実は可愛いものが大好きなんだけど、男子だから変なんじゃないかって隠してること。その時の表情が、今までに見たことないぐらいキラキラしてて、ずっと忘れられなくて……」
「……そう。そこで惚れちゃったんだ」
「うん……そうかも。それで帰る時、陽太と誓ったんだ。これからお互いの秘密を知る者同士として、仲良くしようって。わたし、嬉しかったんだ。人生で初めて『友達』ができた瞬間だったから」
「ふうん……そっか。そうだったんだ」
「……何でニヤニヤしてんのさ。気持ち悪いなぁ」
「はあ? 別にいいでしょ? ホント、生意気なのは変わらないんだから……ほら、早く確認してきなさい? 本当に取られてたらどうすんの?」
「そう、だよね……うん。今から電話してくるね」
そう言ってスマホを掴み……美優は微笑んだ。
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