幕間2

「ちょっと、美優? 今日、痣隠さないで学校行ったでしょ? 馬鹿じゃないの?」

「いいでしょ、別に。お姉ちゃんには関係ないってば」

「せっかく教えてやったと言うのに……あんたが良くてもあたしが嫌なの。いちいち目につくの鬱陶しいし……」

「うるさいなぁ……そんなのお姉ちゃんの勝手じゃん」

「ホント生意気な女ね……というかあんたも教えたばかりの時は隠したがってたじゃない。どういう心境の変化よ」

「別に大したことじゃないよ。ただ……」

「ただ?」

「……陽太が、『痣隠してない美優も可愛い』って言ってくれたから」

「……ホント馬鹿」

「ちょっ……何で馬鹿なのさぁ!」

「あのねぇ、陽太君が良いと言うからって、他の人が良いと言うわけじゃないでしょう? 陽太君に依存するのはいいけど、もっと周りの目を気にしなさいよ」

「う、うるさいなぁ! 依存なんかしてないもん!」

「傍から見たらそう見えるわよ。全く……じゃあ発想を変えましょうか」

「えっ。発想を、変える……?」

「そ。陽太君が良いって言うから『隠すのをやめる』んじゃなくて『二人きりの時だけ痣を見せる』ようにするの。そうすれば、特別感が出て距離も縮まるでしょう?」

「……たしかに。その発想はなかった」

「でしょう? ま、あんたは頭が悪いしね」

「……ホントいつも、一言余計」

「はいはい。文句を垂れてる暇があったら、早く着替えてきなさい。……もっと魅力的に見せる方法、知りたくないの?」

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