第71話
「「……」」
いや、気まずい。どうしよう。
律は凪たちのほう行っちゃったし。
「…謝りたかった」
え…?
「謝りたかったんだ、ずっと。あの時、俺のせいでいろいろ巻き込んだ。俺がいなければあんなこと起きなかったのに」
怜央は目を伏せて、手を強く握りしめていた。
そんな顔しないでよ。私は…私はっ
「怜央のおかげなんだよ、今の私があるのは」
小さいころからひとりぼっちで、毎日同じことの繰り返しで。
このまま終わっていくのかな、なんて思っていた時に怜央に会えたんだよ。
最初は私より年上の裕福な人間だと思って憎たらしくて仕方がなかった。けど、怜央と過ごしていくうちに怜央のやさしさにいつの間にか助けられていたんだ。
自分で言ってなんだけどね、小さいころに比べたら怜央に会ってからの私はすごい笑うようになったと思う。
「俺がいなければ。なんて言わないで。怜央がいたから今の私がいるんだよ?だから謝らないで」
怜央の右頬に手を添える。
添えた手にゆっくりと怜央が手を添えて握りしめる。
「ほんとにやさしいな薫は」
「そんなことないよ。怜央のほうがよっぽど優しい」
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