第69話

怜央を見つけるという私の目的は達成できた。あとは、その人物とリーダーを捕まえる。

そのためにも…



「蓮、闇來に戻ってきて」



私の言葉に蓮が目を見開く。



「俺は、一度裏切った人間だ。フリだとしても仲間を傷つけたことには変わりがない。俺が戻る資格なんてない」



「資格なんて必要ない。誰も裏切って傷つけた最低な人間だなんて思ってないよ。だから、戻って来て」



それでも俯いたままの蓮に律がとびつく。



「うわっ!なにすんだ!」



「俯いて黙ってるとか、蓮らしくなーい。だっさぁ」



「はぁ!?こんな場面でヘラヘラできるお前がおかしいだろ!」



「戻りたいか戻りたくないかだよ、僕たちが聞いてるのは。蓮の気持ちだよ」



律の言葉を聞いて、ゆっくりと立ち上がる。



「お前らがよければ、闇來に戻ってもいいか…っ」



蓮は、頼む。といって頭を下げる。



「戻っていいに決まってんだろ!お帰り、蓮」



凪の一言からみんながお祭り騒ぎのように騒ぎ出す。

よかった。蓮が戻って来てくれて。



「…薫」



この騒ぎの中、律がおどおどと話しかけてきた。



「どうした?」



「この前ひどいこと言ってごめん。僕が悪かった…!」



「いや、私も悪かったよ。だから、おあいこ」



律はぱぁっと笑顔になると私に抱き着いて、しばらく離れなかった。いや、ほんとに30分くらい離れなかった。

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