第68話

「……メールが届いたんだ。差出人不明の」



メール…?



「そこには薫の秘密と黒狼の総長の秘密が書かれてたんだ。最初は変な嘘を送ってきただけだと思って無視していたんだが、定期的にメールが届くようになった。一緒に添付されてたのは証拠の写真と映像だった」



「証拠って?」



蓮は「これを見てくれればわかる」と言ってポケットからスマホを取り出して画面をこちらに向けた。



え、これ…。なんで、これが…。



「薫の隠し部屋だろ?この写真が送られてきた日に確認したんだ。パスワードまでしっかり送り付けてきたからな」



「パスワードまで⁉」



ありえない。誰にも教えていないはずのパスワードがなぜバレているの?

カメラとか盗聴機器が使用できないように作られているはずなのに…。



「で、俺は流石にこの差出人の情報を信じることにした。差出人が総長の秘密を握っている危険人物なわけだから、闇來を守るためにも見つけて捕まえるしかないと思ったんだ」



「でっでも、僕たちに協力を頼むこともできたでしょ⁉」



「差出人の情報網からして、協力を仰ぐのは危険だと判断した。だから俺が裏切るフリをして黒狼から調べ始めたんだ。闇來にも協力者がいる可能性を否定できなかったから、フリって事も話していなかった」



…隠された情報までも仕入れるほどの情報網を持っている何者かがいるってことね。

こちらの味方なのか、敵なのか。調べていく必要がありそう。

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