第59話

――――――


私は怜央のことが好きだった。リーダーの任務を受けていれば怜央についての情報が得られると思った。


私が追っていた黒狼の総長がリーダーとグルで怜央の弟でもあるなんて思いもしなかった。

こんな事今更思い出しても、もう意味ないよね。もうすぐ……忘れちゃうんだし。


あぁ、律に謝らないとな。凪も心配してくれてるかな、どうだろう。

爽、あんなに闇來に貢献してくれてたのに疑って申し訳なかったな。

蓮は裏切者だったけど、私に見せたのがいつわりの姿だったとしてもいいやつだったな。

朔とももっと話してみたかったな。敵チームだけど、話が合いそうなやつだった。


裏切られてからいろいろわかるもんだね。怜央のことばかりで、闇來なんてどうでもいいと思っていたのに。

いつの間にか私の中でとても大事な存在になっているなんて。


もっとあいつらと一緒にいればよかったな。もう遅いけど。


後悔ばっかりだな。



でも一つだけ願いがかなった。怜央に会うことができた。

薫としての最後の記憶で彼がいてよかった。


彼に気持ちを伝えたかったけど、私は彼に会うためだけにいろんなことをしてきた。暴力だってそうだし、煌として人には言えないようなこともしてきた。


気持ちを伝えるなんて到底出来ない。


これで満足するべきだ。


黒く染まりすぎたものは白には戻れないとわかってしまったから。



だから…だから。さよなら、私の初恋の人。

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