第54話
怜央。彼と同じ名前。柊と怜央に何か関係があるとしたら?
私が怜央を探していたことを知っているということは、柊も怜央についてなにか知っている可能性が高い。
怜央を見つけるためにも情報を聞き出すほかない。
ガチャ
「おはよう、薫。調子はどうかな」
「いつも通りよ」
柊がいつも通り紅茶をカップに注いで、私に手渡す。
「今日はダージリンをミルクティーにしてみたよ。飲んでみて」
「紅茶の種類なんてよくわからないわ」
私は裕福な育ちじゃないし、紅茶を飲むなんていつぶりかな。
「……美味しい」
「ふふっ、そっか。よかった」
怜央について聞くなら今よね。
「柊、聞きたいことがあるんだけど」
「うん?」
「怜央についてあなたは何を知ってるの」
怜央と言う名前を口に出した途端、柊の雰囲気が少し変わった気がした。
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